営業分析は、営業活動の成果を最大化するために欠かせないプロセスです。
本記事では、営業分析の基本から具体的な手法、フレームワーク、ツールまでを網羅的に解説します。Excelを活用した分析方法についても詳しく紹介しますので、営業活動の改善に役立ててください。


営業分析とは、営業活動に関するあらゆるデータを収集・整理して分析することで、営業の効率化や売上の向上を図る活動です。
売上データ・案件数・受注率・顧客属性・商談ステータスなどを定量的に分析することで、ボトルネックの特定や有望な市場・顧客層の発見が可能になります。これにより、営業戦略の精度が高まり、チーム全体の生産性向上や売上拡大を実現することができます。
属人的になりがちな営業活動をデータドリブンに変える第一歩として、営業分析は非常に重要な役割を果たします。
営業分析は、営業活動の可視化と改善に欠かせない手法です。データをもとに課題や成功要因を明確化することで、営業力の底上げと再現性の高い施策の実行が可能になります。
感覚に頼らず、根拠のある判断ができるようになる点も重要です。
ここでは、営業分析が重要な理由について、以下3つを解説します。
営業担当者が持っているノウハウを共有できる
マネジメントを効率化できる
売上予測を立てやすくなる
営業分析を行うことで、個々の営業担当者が持っているノウハウを客観的なデータとして言語化・構造化できます。
成績が良い営業担当者がどのようなタイミングで提案を行い、どのようなクロージングをしているかなどを可視化することで、成功パターンの共有が可能になります。これにより、経験の浅いメンバーでも成果を出しやすくなり、チーム全体の営業力が均一に向上していきます。
属人化を防ぎ、組織としての営業力を強化する観点からも有効です。
営業分析によって現場の状況が可視化されるため、マネージャーは感覚に頼ることなく、データをもとに正確な判断ができます。
どのメンバーがどのフェーズでつまずいているのか、どの顧客セグメントで進捗が悪いのかを把握することで、適切なタイミングで的確なフォローを行えます。さらに、チーム単位や個人単位でKPIの達成状況を把握しやすくなるため、進捗管理や目標達成に向けた戦略の立案がスムーズになります。
これにより、マネジメントの負荷が軽減され、戦略的なリーダーシップを発揮しやすくなります。
営業分析では、過去の受注実績や案件の進捗状況などをもとに、今後の売上を定量的に予測することが可能です。
各営業フェーズごとのコンバージョン率や案件ごとの平均受注金額を分析することで、現時点での見込み売上や将来的な達成見込みを精度高く算出できます。これにより、経営層は予算編成やリソース配分の意思決定をデータに基づいて行えるようになり、営業活動全体がより戦略的に運用されます。
計画と実績のギャップも早期に把握できるため、軌道修正も迅速に行えます。
営業分析にはさまざまな手法がありますが、まず押さえておきたいのが
動向分析
要因分析
検討分析
の3つです。それぞれ目的や役割が異なり、使うべきタイミングや対象者も変わってきます。それぞれ比較しながら、適切な分析方法を選びましょう。
分析手法 | 特徴 | 主な目的・役割 | 活用シーン | 向いている人・組織 |
|---|---|---|---|---|
動向分析 | データの時系列変化を把握 | 市場や営業活動の流れを見える化 | 売上推移の確認、新商品の効果測定 | ・営業マネージャー |
要因分析 | 成果や失敗の理由を深掘り | ボトルネックの発見・改善施策の設計 | 受注率の低下要因の特定 | ・現場の営業リーダー |
検討分析 | 顧客の意思決定プロセスを可視化 | 商談の進捗確認・適切な提案支援 | 商談フェーズ別の対応戦略策定 | ・インサイドセールス |
これらの分析を組み合わせて活用することで、属人的な営業から脱却し、よりデータに基づいた施策の立案が可能になります。

動向分析とは、売上や案件数などの営業指標が時間の経過とともにどのように変化しているかを把握する手法です。
四半期ごとの売上推移をグラフ化することで、繁忙期や落ち込み期を可視化できます。過去と現在を比較し、変化のパターンを把握することで、将来のトレンドを予測する材料にもなります。
具体例としては、新商品をリリースした後の3か月間の売上推移を分析し、リリース効果の持続性を評価するといった活用方法があります。
また、営業チームの成果の変化を見ながら教育や施策のタイミングを検討する場面にも有効です。定点観測を通じて改善サイクルを回すための第一歩といえます。

要因分析とは、営業成績に影響を与えている要因を特定し、成果の良し悪しの原因を明らかにする分析手法です。
ある月に受注率が急激に低下した場合、その背景にある要因を仮説とデータで検証していきます。
具体例としては、「商談数は多かったが、提案段階での離脱率が高かった」といったように、失注の原因が提案内容や提案タイミングにあることが明確になります。
このように要因分析は、現場の課題を明らかにし、改善に直結するアクションを導くことが目的です。特に営業リーダーがチームのボトルネックを把握し、トレーニングや施策を設計する際に有効です。

検討分析とは、顧客がどのようなプロセスで商品・サービスを比較・検討し、購入を判断しているのかを分析する手法です。
商談の進捗状況を「認知→興味→比較→決定」などのフェーズに分類し、どこで滞っているのかを把握するのに役立ちます。
インサイドセールスが「資料請求の後に連絡が取れない」ケースが多い場合、検討分析により興味フェーズから次に進めない要因(競合との比較不足や情報不足など)を特定できます。これにより、コンテンツの見直しやアプローチ手法の改善など、具体的な施策へとつながります。見込み顧客の離脱を防ぎ、商談化率を向上させるために重要な分析です。
営業分析の精度と効率を高めるには、ツールの活用が不可欠です。手作業での集計やグラフ作成には限界があり、データの複雑化・多様化が進む現代においては、状況に応じたツールを使い分けることが成果につながります。
ここでは、営業現場で特によく使われる代表的な3つのツール、
「Excel(スプレッドシート)」
「SFA(営業支援システム)」
「BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)」
について、それぞれの特徴と活用シーンをご紹介します。
各ツールには得意・不得意があるため、用途や目的に応じて選定・併用することが重要です。
手軽に集計・可視化したいならExcel、本格的な営業プロセスの可視化と管理を行いたいならSFA、大量のデータから高度なインサイトを得たいならBIツールが適しています。
適切なツールを選ぶことで、分析からアクションまでのスピードが大きく向上し、成果にも直結しやすくなります。
ExcelやGoogleスプレッドシートは、営業分析の現場で最も身近で多用されているツールの一つです。関数やピボットテーブル、グラフ機能を使えば、売上推移や目標達成率、活動件数などのデータを簡単に可視化できます。
特に少人数のチームや初期フェーズの企業では、コストをかけずに素早く分析を行える点が魅力です。週次の営業報告をシートにまとめてグラフで可視化すれば、チーム全体の動きが一目でわかります。
また、共有機能を活用すれば、複数人でリアルタイムに分析内容を更新することも可能です。導入ハードルが低く、カスタマイズ性も高いため、幅広い業種・規模の企業で活用されています。
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動の記録や管理、分析を一元化できるツールです。顧客とのやりとりや商談の進捗、アプローチ履歴などを時系列で蓄積・可視化できるため、属人的な営業から脱却し、チーム全体のナレッジ共有やプロセス改善に役立ちます。
商談の停滞フェーズや受注率の低下傾向をデータから把握し、早期に対策を講じることが可能です。また、営業マネージャーはメンバーの活動量を可視化し、適切なフィードバックを行えるようになります。
SalesforceやSansanなど、多機能なクラウド型SFAが普及しており、デジタル営業体制の中核を担う存在といえます。定量的な営業判断を行いたい企業にとって、非常に有用なツールです。
BIツール(Business Intelligenceツール)は、社内外に存在する膨大なデータを横断的に集約・可視化し、営業戦略や意思決定に役立てる高度な分析ツールです。ダッシュボード機能を使えば、KPIの進捗状況や部門別の売上比較、エリア別の傾向分析などがリアルタイムで表示され、意思決定のスピードと質が向上します。
TableauやPower BIは営業データとマーケティングデータを連携し、商談創出のプロセスを分析するのに適しています。過去の実績から成約確度の高いリードの特徴を可視化することも可能です。
中堅〜大企業、あるいはデータドリブンな営業体制を目指す企業にとって、BIツールは最適な選択肢といえるでしょう。

営業分析を効果的に行うためには、目的や課題に応じた適切なフレームワークを活用することが重要です。以下に、代表的な営業分析のフレームワークをマトリクス表で整理しました。
フレームワーク | 特徴 | 主な目的・役割 | 活用シーン | 向いている人・組織 |
|---|---|---|---|---|
商談分析 | 商談の進捗状況や成約率を分析する | 商談のボトルネックを特定し、改善策を立案 | 商談の成約率向上を目指す場面 | ・営業担当者 |
KPI分析 | 主要業績評価指標を設定し、進捗を管理する | 目標達成度を定量的に把握し、戦略を調整 | 営業目標の進捗管理や評価を行う場面 | ・営業マネージャー |
エリア分析 | 地域ごとの営業成果や市場特性を分析する | 地域戦略の最適化やリソース配分の見直し | 地域別の売上分析や新規開拓戦略の策定 | ・営業企画担当者 |
行動分析 | 営業活動の内容や頻度を分析する | 効果的な営業行動の特定と改善 | 営業プロセスの効率化や教育プログラムの設計 | ・営業マネージャー |
クラスター分析 | 顧客を属性や行動パターンで分類する | ターゲットセグメントの明確化と戦略立案 | マーケティング戦略や商品開発の基礎資料作成 | ・マーケティング担当者 |
営業パイプライン分析 | 商談の各ステージの状況を可視化する | 商談の進捗管理と予測精度の向上 | 営業会議での進捗報告や予測精度の改善 | ・営業マネージャー |
顧客分析 | 顧客の購買履歴や行動データを分析する | 顧客ニーズの把握とLTVの最大化 | 顧客満足度向上やクロスセル戦略の策定 | ・カスタマーサクセス担当者 |
これらのフレームワークを適切に活用することで、営業活動の効率化や成果の最大化が期待できます。
商談分析とは、営業プロセスにおける各商談の状況や進捗を定量的に把握し、成約率向上のための改善点を特定する手法です。
具体的には、商談ごとのステージ(初回接触、提案、見積、契約など)における進捗率や失注率を分析し、どの段階で滞りやすいかを可視化します。「提案段階で失注が多い」ことが判明すれば、提案内容やタイミング、顧客理解の深さなどに課題があると推察できます。
商談分析は、営業マネージャーがボトルネックの早期発見や教育内容の見直し、戦略の立案に活用できる非常に有効なフレームワークです。
KPI分析は、営業目標の達成度を測るために、主要な業績評価指標(Key Performance Indicator)を設定・管理する分析手法です。
KPIには「アポ獲得件数」「月間商談数」「受注率」「平均契約単価」などがあり、それぞれが営業活動の特定のフェーズを表します。KPI分析を行うことで、単なる結果だけでなく、プロセスのどこに課題があるのかを明確にできます。アポイント数が足りていても受注率が低ければ、提案力やクロージングの強化が必要と判断できます。
KPIを可視化することで、チームや個人の営業活動を具体的に改善するヒントが得られます。
エリア分析は、営業成績や市場特性を地域別に比較・評価するフレームワークです。
各エリアでの売上実績や商談件数、成約率などのデータを基に、地域ごとの強み・弱みを可視化できます。関西エリアでは成約率が高いが商談件数が少ない場合、訪問回数やリード数の拡大が課題となります。
また、特定地域での競合状況や文化的背景を分析することで、より効果的な営業戦略の立案が可能になります。
エリア別に適切な人材や予算を配分したり、重点的にアプローチすべきエリアを特定したりするのにも役立ちます。
行動分析は、営業担当者の活動内容(訪問数・電話件数・提案数など)をデータとして記録・分析し、成果との因果関係を把握する手法です。「1日5件以上の訪問をしている担当者の受注率が高い」などの傾向が見えれば、成功パターンとして他メンバーに展開できます。
また、活動量が多くても成果が上がっていない場合は、ターゲティングやアプローチ方法の見直しが必要かもしれません。
行動分析は、再現性のある営業ノウハウを構築し、全体の営業力を底上げするうえで重要なフレームワークです。新人育成や評価制度の見直しにも活用できます。
クラスター分析は、顧客データをもとに共通する特性を持つグループ(クラスター)に分類し、各グループの傾向を把握する分析手法です。
購買頻度や平均購入金額、業種、企業規模などのデータをもとに顧客をいくつかのタイプに分け、それぞれに合ったアプローチを設計します。これにより、見込み度の高い顧客には重点的なフォローを、そうでない層にはメールなどの低コスト施策を当てるなど、リソースの最適配分が可能になります。
クラスター分析はマーケティングやカスタマーサクセスとも相性が良く、戦略設計に大きく貢献します。
営業パイプライン分析は、商談の各ステージ(リード獲得、初回接触、提案、交渉、契約など)の進行状況を可視化し、営業活動のボトルネックや課題を把握する分析手法です。
「交渉段階で多数の案件が停滞している」場合は、価格や契約条件の見直しが必要である可能性があります。また、ステージ間の移行率を測ることで、見込み案件の成約確率を予測したり、営業予測の精度を向上させたりすることも可能です。
営業マネージャーが進捗状況を把握しやすくなるだけでなく、個別案件に対する適切な支援やリソース配分の判断にもつながります。
顧客分析は、顧客の購買履歴・問い合わせ履歴・契約期間・LTV(顧客生涯価値)などのデータを活用して、傾向やニーズを明らかにする手法です。
「契約更新率が高い顧客の共通点」や「一定期間利用後に離脱する顧客の傾向」などを可視化することで、アプローチ方法やサービス改善に活かすことができます。また、顧客セグメントごとに提供価値を最適化することで、クロスセル・アップセルの可能性も高まります。
顧客の解像度を上げることは、営業だけでなくマーケティングやカスタマーサクセスにも大きなインパクトをもたらします。
営業分析に関する疑問は多く寄せられます。「営業分析の目的は?」「ABC分析やデシル分析とは?」など、手法ごとの活用シーンや違いを正しく理解することで、営業活動の質が高まり、効率的な意思決定が可能になります。
営業分析の目的は、営業活動の現状を「可視化」し、成果を最大化するための改善ポイントを見つけることです。売上や商談数だけでなく、活動量や顧客属性、エリア別の特性などを数値で把握することで、戦略的な営業施策の立案が可能になります。
ABC分析は、顧客や商品を売上や利益の大きさに応じてA・B・Cの3ランクに分類する手法です。限られたリソースを重点的に投入すべき対象を明確にできるため、重要顧客の選定や優先順位の判断に役立ちます。特に収益性の高い顧客に注力したい場合に効果的です。
営業解析とは、営業活動に関するデータを分析し、成果を上げるための行動や施策を導き出す手法全般を指します。営業「分析」とほぼ同義で使われることもありますが、「解析」はより統計的・科学的な視点で行動の因果関係を深掘りする傾向があります。
デシル分析は、顧客を売上貢献度の高い順に10等分してグループ化し、各層の特性を把握する手法です。上位層に集中することで効率的な売上拡大が可能になります。また、離脱リスクの高い層に対する対策も立てやすく、LTV最大化にもつながります。

この記事をかいた人
八並 嶺一
エンタープライズセールスの専門家。株式会社エージェントにて、大手企業との取引量を増やし、事業拡大を牽引。その実績を背景にCHRO、COOを歴任し、組織・事業の両面から経営をリード。2020年の株式上場を経験する。2022年、インキュベーター株式会社を創業。自身が現場と経営の両軸で培ってきた「大企業営業」の知見を再現可能な仕組みに昇華すべく、2025年にエンタープライズセールス特化型サービス「アカマネ」をリリース。アカマネを通じて属人化しがちなエンタープライズセールスを、再現性ある営業基盤へと変革する支援に取り組んでいる。