営業活動の成果を安定して上げるためには、感覚や経験に頼るのではなく、戦略的に営業活動計画を立てることが重要です。
しかし、営業活動計画の立て方が分からず、場当たり的なアプローチに終始している企業も少なくありません。明確な営業目標や実行計画を持たないままでは、成果のばらつきが大きくなり、営業組織の成長にも限界が生じてしまいます。
この記事では、営業活動計画の基本的な考え方や作成メリット、具体的な立て方について詳しく解説します。営業成果を最大化するための第一歩として、計画の重要性を理解していきましょう。


営業活動計画とは、営業部門が売上目標や利益目標を達成するために、具体的な行動計画や戦略をまとめたものです。
計画には、営業目標の数値設定だけでなく、顧客ターゲットの選定、営業メンバーの役割分担、ツールの導入方針、マーケティングとの連携方法、新規顧客の獲得戦略などが含まれます。全体像を明確にし、実行に移すための設計図とも言える存在です。
営業活動計画を立てることで、現場での営業活動が属人的なものにならず、組織全体で同じ方向を目指せるようになります。とくに複数のメンバーで営業チームを構成する場合、個々の活動が分断されてしまうと成果が上がりにくくなります。計画を明文化することで、連携がスムーズになり、営業プロセス全体の質が向上します。
また、営業活動計画は、目標の未達や戦略の見直しが必要な場面でも役立ちます。どこに課題があるかを振り返る土台になるため、改善アクションの実行にもつながります。継続的な成果を出すためには、計画的な営業活動の推進が不可欠です。
営業活動計画を作成する最大のメリットは、組織としての営業活動に一貫性が生まれ、成果につながりやすくなる点にあります。目標が数値化され、戦略が明確になることで、営業メンバーが「何をすべきか」「どこに注力すべきか」を把握しやすくなります。結果として、個々の行動が戦略的になり、無駄な活動が削減されます。
また、営業活動計画は、進捗管理の基準としても機能します。KPIや予算の達成状況をチェックする際、あらかじめ策定された計画と照らし合わせることで、迅速な判断や軌道修正が可能になります。組織の営業力を可視化し、マネジメントを強化する手段としても非常に有効です。
さらに、営業活動計画は、経営層や関連部署との連携を図るうえでも重要な役割を果たします。明文化された計画は、他部門との情報共有や意思決定をスムーズに進める材料になります。
営業活動計画を立てる際には、複数の要素をバランス良く検討することが欠かせません。ただ営業目標を設定するだけでは、現場で実行可能な営業活動にはつながりません。
目指すべきミッションやチーム体制、ターゲットの明確化、営業活動に使用するツールの整備など、事前に整理しておくべき要素は多岐にわたります。
営業活動計画は、計画立案から実行、改善までの一連の流れを支える土台です。
ここでは、営業活動計画においてとくに重要な下記9つの項目について解説します。
ミッション
メンバー
ターゲット
ツール
ポジショニング
マーケティング計画
新規顧客獲得戦略
営業目標
予算・リソース
営業活動計画を成功させるためには、最初にミッションを明確に定義することが重要です。
ミッションは、営業組織が果たすべき役割や存在意義を示すものであり、すべての営業活動の起点となります。「中小企業の業務改善を支援する」や「地域密着で信頼されるソリューションを提供する」などの表現が考えられます。
ミッションが不明確なままだと、営業活動がブレやすく、チームの方向性も定まりません。営業活動計画におけるすべての要素は、このミッションを軸に組み立てていくことが求められます。
営業活動計画では、誰がどの役割を担うかというメンバー構成の検討も欠かせません。
メンバーのスキルや経験、得意分野を把握し、営業活動の各フェーズに適切に配置することが成功の鍵となります。新規開拓に強いメンバーと既存顧客対応が得意なメンバーでは、役割の最適化が異なります。
営業リーダーやサポート担当との連携も含めて、チーム全体のバランスを考慮することが求められます。営業活動計画は個人プレーではなく、チーム全体の力を最大化するための設計が重要です。
営業活動計画では、ターゲットの設定が最も重要な要素の一つです。営業活動の効果を最大化するためには、リソースを適切な相手に集中させる必要があります。
業種や企業規模、地域、課題、購買意欲の高い顧客層など、ターゲットの明確化により、無駄のない営業活動が可能になります。
また、ターゲットのペルソナを具体的に設定することで、提案内容やコミュニケーション方法も最適化できます。営業活動計画を立てる際は、数値的な根拠に基づいてターゲットを絞り込み、計画全体を効率的に運用することが重要です。
営業活動計画には、ツールの選定も重要な要素として含まれます。
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理ツール)、商談記録アプリ、データ分析ツールなどは、営業プロセスの可視化や効率化に役立ちます。営業進捗をSFAで管理することで、メンバーの行動量や商談状況をリアルタイムで把握できます。
さらに、データに基づいた戦略立案や、成功パターンの抽出にもつながります。営業活動計画では、現場で実際に使えるツールを選定し、導入・運用の体制まで含めて考慮する必要があります。
営業活動計画を策定する際は、自社の商品やサービスの市場におけるポジショニングも明確に定める必要があります。
どの競合と差別化を図るのか、どのような価値を顧客に届けるのかを明示することで、営業メッセージの一貫性が保たれます。「コストパフォーマンスに優れる」「業界特化型」「サポート体制が手厚い」といった特性は、ターゲットごとのニーズに応じて使い分ける必要があります。
営業活動計画におけるポジショニングが曖昧だと、提案内容に説得力が欠け、受注率の低下を招きかねません。
営業活動計画と密接に関係するのがマーケティング計画です。
営業が個別対応するだけではリードが不足するため、見込み顧客を獲得するためのマーケティング活動も事前に設計しておく必要があります。展示会の出展、セミナーの開催、オウンドメディア運営、広告配信など、リードジェネレーション施策と営業活動の連携が成果を左右します。
営業活動計画では、マーケティング部門との役割分担や連携手法を明記することで、部門間の連携をスムーズにし、組織全体の成果につなげることができます。
営業活動計画には、新規顧客をどう獲得するかという戦略を必ず盛り込む必要があります。
既存顧客からの売上に頼るだけでは、持続的な成長は見込めません。新規顧客の獲得は、営業プロセスのなかでもとくに難易度が高く、戦略的なアプローチが求められます。ターゲットリストの作成、アプローチ手法の設計、提案資料の標準化、クロージングのトレーニングなど、段階ごとに具体的な施策を設計することが重要です。
営業活動計画では、実行可能な新規開拓プランを用意し、継続的な改善を視野に入れることが求められます。
営業活動計画においては、定量的な営業目標の設定が欠かせません。
目標は曖昧なものではなく、数値で明確に示すことが必要です。売上額、受注件数、商談数、訪問件数などのKPIを明確にすることで、営業活動の進捗管理がしやすくなります。
また、目標設定には現実的で達成可能な基準を設けることが大切です。営業チームのモチベーションにも直結するため、定期的に振り返りと見直しのサイクルを入れることも重要です。
営業活動計画は、目標達成のための行動を数値で管理するための指標を提供します。
営業活動計画には、使用できる予算とリソースの配分も明記しておく必要があります。
人員配置やツール導入、研修・教育費、マーケティング施策にかかる費用などをあらかじめ把握しておくことで、無理のない営業戦略を立てられます。
また、限られたリソースをどの活動に優先的に投入するかを明確にすることが、営業成果を最大化するためのポイントです。
営業活動計画では、予算面の現実性と戦略の整合性を担保することで、計画倒れを防ぎ、実行力の高い営業体制を築くことが可能になります。


営業活動計画を立てる際は、複数の要素を段階的に組み立てていくことが大切です。
最初に営業の目的やミッションを定め、次にチーム体制を構築し、ターゲットや営業戦略を明確にしていきます。営業活動計画は単なる目標設定ではなく、誰が何を、どのように行うのかを具体的に記述する必要があります。また、マーケティング戦略や使用するツール、予算・リソースの配分まで一貫性をもって計画に盛り込むことで、実行力のある営業活動を実現できます。
ここからは、営業活動計画の下記の各ステップについて詳しく解説します。
ミッションを作成する
メンバーを構成する
ターゲットを絞る
ツールを決める
ポジショニングを設定する
マーケティングを計画する
新規顧客獲得戦略を決める
営業目標を立てる
予算を決める
営業活動計画の出発点は、営業部門の存在意義を示すミッションの策定です。
企業理念や事業ビジョンと整合性をとったミッションを設定することで、営業活動全体の軸が定まります。「中堅企業のデジタル化を推進するパートナーになる」といった具体性をもたせると、営業の方向性が明確になります。
ミッションが曖昧なままでは、戦略や行動に一貫性がなくなり、結果として成果が分散してしまいます。営業活動計画はこのミッションを中心に設計することが成功のカギとなります。
営業活動計画では、メンバー構成の設計が営業力に直結します。
担当者の得意分野や営業スタイルを考慮し、役割分担を明確にすることで、個々の強みを最大限に活かすことが可能です。新規開拓に強い人材、顧客対応が得意な人材、資料作成に長けたメンバーなど、それぞれの特徴を踏まえてチームを編成することが成果につながります。
さらに、営業マネージャーのリーダーシップや、サポート部門との連携体制も計画に含めておくことで、営業活動全体の精度と再現性が高まります。
営業活動計画では、対象とする顧客の属性やニーズを明確にし、ターゲットを絞ることが成果を左右します。
業種・規模・地域・課題などを基準にセグメント化し、最も成約可能性の高い層に対して営業活動を集中させることが重要です。ターゲットが不明確なまま営業を行うと、商談の質が下がり、リソースの無駄遣いにつながります。
営業活動計画では、ターゲット像のペルソナを設計し、そのニーズに合ったアプローチ手法や提案資料を事前に準備することが成果の最大化に直結します。
営業活動計画では、使用するツールの選定も不可欠なステップです。SFAやCRMなどの営業支援ツールは、進捗管理や情報共有を効率化し、営業活動の精度を高めるために役立ちます。
また、商談記録や顧客情報の一元管理により、属人化を防ぎ、チーム全体での情報共有がスムーズになります。さらに、データ分析ツールやオンライン商談ツールの導入により、非対面型の営業活動も効率的に行えます。
営業活動計画を立てる際は、業務に最適なツールを選び、導入後の教育や運用体制も含めて設計することが大切です。
営業活動計画のなかでも、ポジショニングの設定は競争優位性を確保するうえで極めて重要です。
自社の商品やサービスが、どの市場でどのような立場にあるのかを明確にすることで、営業メッセージに一貫性が生まれます。「低コストで導入可能」「サポート体制に強み」「業界特化型」など、顧客にとっての価値を明文化する必要があります。
競合との差別化が不明瞭な場合、提案に説得力が欠け、受注機会を逃す原因にもなります。営業活動計画では、ポジショニングを軸に提案内容を設計しましょう。
営業活動計画を成功に導くには、営業部門単体での取り組みでは限界があります。
見込み顧客を継続的に創出するためには、マーケティング部門と連携した計画が不可欠です。展示会や広告、メールマガジン、ウェビナーなどの施策を計画的に実施し、リードジェネレーションのパイプラインを強化します。
営業活動計画にマーケティング戦略を組み込むことで、営業担当者は質の高いリードに集中でき、アプローチの効率も高まります。部門間の連携設計は、営業成果の安定と拡大に直結します。
営業活動計画では、新規顧客の獲得戦略を明確にすることが、持続的な成長を支える要素となります。
ターゲットリストの作成からアプローチ手法の設計、アポ獲得方法、商談フローの設計までを事前に組み立てることが大切です。既存顧客だけに依存している営業体制では、新しい市場や顧客層への展開が困難になります。新規開拓には時間とコストがかかるため、リソースの配分も含めて計画に落とし込むことが必要です。
営業活動計画では、明確なKPIを設定した上で、新規戦略を継続的に見直す体制を築きましょう。
営業活動計画において、営業目標の設定はチーム全体のモチベーションと成果を左右する重要な要素です。
目標は売上額、成約率、アポイント獲得数などのKPIに落とし込むことで、具体的な行動計画につながります。また、年間・月間・週次といった時間軸で分解することで、進捗管理もしやすくなります。
営業目標は高すぎても低すぎても機能しないため、過去の実績や市場環境をもとに現実的な数値を設定することが大切です。営業活動計画では、目標を達成するための手段も同時に明記することが重要です。
営業活動計画を実行に移すうえで、予算の確保と配分は最終的な実現性を左右します。
営業ツールの導入費用、広告宣伝費、出張費、教育研修費など、必要となるコストを具体的に洗い出すことで、無理のない営業計画が立てられます。
また、限られた予算のなかでどの活動に重点的に投資するかを決定する判断基準にもなります。
営業活動計画では、リソースの有効活用を前提に、ROI(投資対効果)を意識した予算設計が必要です。特に新規顧客開拓やマーケティング施策では、予算配分が成果に大きく影響します。
営業活動計画を策定する際には、営業計画やアクションプランとの違い、営業活動の具体的な内容、方針の立て方など、さまざまな疑問が生じます。
ここでは、営業活動計画に関する代表的な質問を取り上げ、それぞれの意味や違いについてわかりやすく解説します。計画立案の理解を深める参考にしてください。
営業計画とは、営業活動全体の方向性や目標、具体的な実施内容を体系的にまとめた戦略文書のことです。
営業活動計画が日々の具体的な行動に焦点を当てるのに対し、営業計画はより上位概念として、年間目標やターゲット市場、組織体制など広範な要素を含みます。両者は連動して運用されるべきものです。
営業活動では、見込み顧客へのアプローチ、商談、提案書作成、クロージング、既存顧客のフォローアップなど多岐にわたる業務を行います。
これらの活動は、営業活動計画によって優先順位やタイミングが決められ、計画的に実行されることが求められます。成果を出すには、無駄のない行動設計が重要です。
営業アクションプランとは、営業活動計画で立てた戦略や目標を実行に移すための具体的な行動計画を指します。
誰が、いつ、何を行うかを明確にし、実施内容をスケジュール化します。「月内に新規20件へアプローチ」など、定量的なアクションを設定することで営業活動の再現性と効率が高まります。
営業方針は、営業組織が目指す方向性を示す文章です。例文としては「顧客との信頼構築を最優先に、ソリューション提案型営業を強化する」や「中小企業向けに、定額制サービスの拡販を推進する」などが挙げられます。
営業活動計画を具体化する際は、この方針に沿って各施策や行動を設計することが求められます。

この記事をかいた人
八並 嶺一
エンタープライズセールスの専門家。株式会社エージェントにて、大手企業との取引量を増やし、事業拡大を牽引。その実績を背景にCHRO、COOを歴任し、組織・事業の両面から経営をリード。2020年の株式上場を経験する。2022年、インキュベーター株式会社を創業。自身が現場と経営の両軸で培ってきた「大企業営業」の知見を再現可能な仕組みに昇華すべく、2025年にエンタープライズセールス特化型サービス「アカマネ」をリリース。アカマネを通じて属人化しがちなエンタープライズセールスを、再現性ある営業基盤へと変革する支援に取り組んでいる。