企業が顧客との関係を深め、長期的な収益につなげるために欠かせない仕組みが「CRM」です。CRMを導入することで、顧客情報の一元管理や最適なアプローチが可能になり、営業やマーケティング活動の効率化を実現できます。実際に多くの企業が導入しており、成果を上げた成功事例も数多く存在します。
本記事ではCRMの基本概念から導入ポイント、メリット・デメリット、さらに代表的な事例を紹介し、導入を検討している企業に役立つ情報をまとめています。


CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客情報を一元管理し、顧客との良好な関係を構築・維持することで、顧客満足度を高め、企業活動の継続的な成長を目指す経営戦略およびそのためのシステムです。
CRMの最大の目的は、企業と顧客の間に築かれる関係性を強化することです。顧客のニーズや興味を深く理解し、それぞれの顧客に合った最適なコミュニケーションを提供することで、顧客満足度を向上させ、長期的な関係を築いていきます。その結果、顧客は企業やブランドに対するロイヤリティ(愛着)を高め、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながります。
単なる顧客情報のデータベースではなく、顧客との継続的な対話を通じて、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化していくための戦略的なアプローチであると言えるでしょう。営業活動の効率化、マーケティング施策の最適化、サポート品質の向上など、顧客接点を持つあらゆる部門で活用できるのがCRMの大きな特徴です。顧客中心のビジネスを展開する上で、CRMは欠かせない存在となっています。
多くの企業がCRMを導入し、顧客との関係を深めることでビジネスを成長させています。ここでは、BtoB(法人向け)からBtoC(消費者向け)まで、様々な業界におけるCRMの成功事例を13社ご紹介します。それぞれの企業がどのような課題を抱え、CRMをどのように活用して成果を出したのかを見ていきましょう。
・抱えていた課題
クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHR社は、導入企業数の増加に伴い、顧客データの管理が複雑化していました。営業担当者ごとに顧客情報がバラバラに管理されており、部門を横断した情報共有が困難な状態でした。
また、見込み顧客の獲得から契約、その後のサポートまでの一連のプロセスを可視化できておらず、属人的な営業活動に依存しているという課題も抱えていました。
・実施したこと
全社で利用するCRMを導入しました。これにより、顧客情報を一元管理し、営業、マーケティング、カスタマーサポートといった各部門でリアルタイムに情報を共有できる仕組みを構築しました。また、見込み顧客の獲得から成約、その後のサポートまでの一連の顧客ジャーニーをCRM上で可視化・自動化することで、営業プロセスの標準化を進めました。
・何がどう変わったのか
顧客情報が部署間で共有されるようになり、営業活動の効率が大幅に向上しました。これにより、営業担当者は顧客とのコミュニケーションに集中できるようになり、新規顧客獲得のスピードが加速しました。
また、顧客ごとの状況を正確に把握できるようになったことで、適切なタイミングで質の高いサポートを提供できるようになり、顧客満足度と契約継続率の向上にもつながりました。
・抱えていた課題
JR東日本は、Suicaをはじめとする交通系ICカードや各種サービスを通じて膨大な顧客データを保有していましたが、それらのデータが各事業部門で個別管理されており、統合的な顧客理解ができていないという課題を抱えていました。顧客一人ひとりの行動やニーズを把握し、よりパーソナルなサービスを提供することが求められていました。
・実施したこと
顧客データを統合・分析するためのCRMを構築しました。Suicaの利用履歴、駅構内店舗での購買履歴、ECサイトの利用履歴など、様々なデータを統合。これらのデータを基に、顧客の移動パターンや購買傾向を詳細に分析し、顧客セグメントごとに最適な情報や特典を配信するOne to Oneマーケティングを展開しました。
・何がどう変わったのか
顧客データが一元管理されたことで、顧客の多様なニーズを正確に捉えることができるようになりました。その結果、個々の顧客に最適化されたサービス提案や、パーソナライズされたキャンペーンの実施が可能になり、利用頻度の向上につながりました。
特定の駅を頻繁に利用する顧客に対し、その駅周辺の店舗で利用できるクーポンを配信するなど、顧客の行動に合わせたアプローチが実現し、顧客満足度の向上に貢献しています。
・抱えていた課題
BtoB事業において、顧客との関係性が営業担当者の属人的なスキルに依存しており、組織全体としての顧客資産が蓄積されないという課題を抱えていました。顧客との商談履歴や案件の進捗状況が共有されず、営業効率が悪いうえ、担当者異動の際に引き継ぎがスムーズにいかないといった問題も発生していました。
・実施したこと
部門横断的な顧客情報共有を目的として、CRMを導入しました。営業担当者には、商談内容や顧客とのやり取りをすべてCRMに記録することを徹底。これにより、各案件の進捗状況や顧客のキーパーソン、過去のやり取りなどを部門全体で可視化・共有できる体制を構築しました。
・何がどう変わったのか
営業活動が標準化・可視化され、組織としての営業力が強化されました。個々の営業担当者が持つノウハウや顧客情報が組織の資産として蓄積されるようになったため、担当者変更時の引き継ぎがスムーズになり、顧客満足度の低下を防ぐことができました。
また、蓄積されたデータはマーケティング部門でも活用され、より効果的な施策の立案に役立っています。
・抱えていた課題
急成長に伴い、M&A案件や顧客情報の管理が属人化し、複雑化していました。多くの情報が個々の担当者のPCや紙の資料に分散しており、組織全体での情報共有が不十分でした。特に、案件の進捗状況の把握が困難であり、経営層が迅速かつ正確な意思決定を行う上で大きな障害となっていました。
・実施したこと
案件管理に特化したCRMを導入し、全国の支店で利用を開始しました。これにより、すべてのM&A案件の進捗状況、顧客とのやり取り、関連書類などを一元管理できるシステムを構築。担当者は案件に関するすべての情報をCRMに集約し、経営層や他部門のメンバーはいつでも最新の情報を確認できるようにしました。
・何がどう変わったのか
M&A案件の進捗状況が可視化され、経営層はリアルタイムで正確な経営判断を下せるようになりました。また、営業担当者間の情報共有が円滑になり、協力体制が強化されました。これにより、案件のスムーズな進行が実現し、顧客満足度の向上につながりました。
さらに、過去の成功事例やノウハウがデータとして蓄積され、全社員のスキルアップに貢献しています。
・抱えていた課題
メールマガジンやSNSといった顧客との接点が複数あり、それぞれで個別に情報を管理していたため、顧客一人ひとりの好みや購買傾向を把握することが困難でした。顧客に合わせたパーソナライズされた情報提供ができず、販促効果を高められないという課題を抱えていました。
・実施したこと
顧客データを統合し、マーケティングオートメーション(MA)機能を備えたCRMを導入しました。これにより、オンライン注文履歴、アプリの利用状況、メールの開封履歴などのデータを一元管理。これらのデータを基に顧客を細かくセグメント化し、それぞれのセグメントに合ったクーポンやキャンペーン情報を自動で配信する仕組みを構築しました。
・何がどう変わったのか
顧客の行動に基づいたパーソナライズされたプロモーションが可能になり、キャンペーンの効果が大幅に向上しました。
特定のピザを何度も注文する顧客にはそのピザの割引クーポンを配信したり、しばらく注文がない顧客には特別なオファーを送ったりするなど、顧客の状況に合わせたきめ細やかなアプローチが実現しました。その結果、顧客のリピート率が向上し、売上増につながっています。
・抱えていた課題
世界各国で農業機械や建設機械、船舶などを展開するヤンマーは、グローバルでの顧客情報管理が大きな課題でした。各拠点で異なるシステムや方法で顧客情報が管理されており、グローバル全体での顧客データの統合や、統一された営業プロセスの構築ができていませんでした。
・実施したこと
世界中で利用可能なCRMを導入しました。これにより、各国の顧客データを統合・一元管理。さらに、営業活動の進捗状況や顧客とのやり取りをすべてシステム上で記録するよう徹底しました。
・何がどう変わったのか
グローバルでの顧客情報が一元化され、経営層は世界中の販売状況や顧客動向をリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、より迅速かつ的確なグローバル戦略の策定が可能になりました。
また、各拠点の営業担当者が成功事例やノウハウを共有しやすくなり、組織全体の営業力向上にも貢献しています。
・抱えていた課題
百貨店の店頭販売が中心だった三越伊勢丹は、顧客一人ひとりの購買履歴や嗜好をデータとして十分に把握できていませんでした。顧客との関係が店舗での接客に限定されがちで、顧客に合わせた特別なサービスや情報提供が難しく、LTV(顧客生涯価値)を高められないという課題がありました。
・実施したこと
顧客統合データベースを構築し、CRMを導入しました。店頭での購買履歴だけでなく、オンラインストアの利用履歴、アプリの閲覧履歴などをすべて連携。さらに、顧客の来店頻度や購買金額に応じて、ランク付けを行う仕組みを導入しました。
・何がどう変わったのか
顧客データの一元管理により、顧客一人ひとりの購買履歴や好みを深く理解できるようになりました。これにより、顧客のランクに応じたパーソナライズされた特典や、興味を持ちそうな商品の情報をメールやアプリで配信できるようになりました。その結果、顧客のリピート率や来店頻度が向上し、顧客満足度とLTVの向上に成功しました。
・抱えていた課題
サントリーは、飲料や食品、健康食品など多岐にわたる事業を展開していますが、事業部ごとに顧客情報が分散していました。これにより、顧客が複数の事業部の製品を購入していても、その顧客全体像を把握することができず、クロスセル(関連商品の販売)やアップセル(より高価な商品の販売)の機会を逃していました。
・実施したこと
各事業部に分散していた顧客データを統合し、全社的なCRMを導入しました。これにより、顧客がどの事業部の製品をどれだけ購入しているかを一元的に把握できる仕組みを構築。顧客の購買履歴や行動を分析し、最適なタイミングで別の事業部の商品を提案する仕組みを構築しました。
・何がどう変わったのか
顧客情報が一元化されたことで、顧客の購買傾向を深く理解できるようになり、クロスセルやアップセルの成功率が向上しました。
健康食品を購入している顧客に対し、健康志向の飲料のキャンペーン情報を配信するなど、顧客のニーズに合わせた提案が可能になりました。また、顧客からの問い合わせに対しても、過去の購買履歴を踏まえたより適切な対応が可能になり、顧客満足度の向上にもつながっています。
・抱えていた課題
菓子業界を牽引するカルビーは、消費者との直接的な接点を持つ機会が限られており、顧客の生の声やニーズを把握しづらいという課題を抱えていました。また、新商品の開発やマーケティング施策の立案において、データに基づいた客観的な分析が不足していました。
・実施したこと
自社ECサイトの会員情報やSNSでの消費者とのやり取りなどを一元管理するCRMを導入しました。これにより、顧客の属性情報だけでなく、購入履歴やアンケートへの回答、コメントなどのデータを収集・分析できる体制を構築しました。
・何がどう変わったのか
消費者の生の声を直接データとして蓄積できるようになり、顧客のニーズやトレンドを迅速に把握できるようになりました。これにより、顧客の好みに合わせた新商品の開発や、より効果的なマーケティング施策の立案が可能になりました。
また、顧客からの問い合わせや意見にも迅速に対応できるようになり、ブランドロイヤルティの向上にも貢献しています。
・抱えていた課題
住宅設備機器メーカーのLIXILは、全国に多数のショールームを展開しており、来場顧客情報の管理が課題でした。顧客情報がショールームごとに分散しており、顧客の来場履歴や商談内容が共有されていないため、他のショールームに来場した顧客に対して適切な提案ができないという状況でした。
・実施したこと
顧客情報を一元管理できるCRMを導入しました。全国のショールームで共通のシステムを利用することで、顧客の来場履歴や商談内容をリアルタイムで共有できる仕組みを構築しました。これにより、どのショールームでも顧客の過去の商談履歴を把握した上で、適切な接客ができるようになりました。
・何がどう変わったのか
顧客情報が一元化されたことで、顧客はどのショールームに行っても一貫した質の高い接客を受けられるようになりました。これにより、顧客満足度が大幅に向上。また、商談履歴や成約状況がデータとして蓄積されるようになり、営業活動の改善点を発見しやすくなりました。
・抱えていた課題
インターネット広告事業を中心に、多岐にわたる事業を展開するサイバーエージェントは、膨大な数のクライアントを抱えていました。クライアントの担当者情報や過去のやり取り、提案内容が属人的に管理されており、担当者間の情報共有が不十分でした。これにより、案件の進捗管理が非効率になり、営業活動の生産性向上に課題がありました。
・実施したこと
全社で利用するCRMを導入しました。営業担当者には、クライアントとのすべてのやり取りや提案内容、案件の進捗状況をCRMに記録することを徹底。これにより、各案件の状況をリアルタイムで把握できる体制を構築しました。
・何がどう変わったのか
クライアント情報や案件の進捗状況が可視化されたことで、営業活動の効率が大幅に向上しました。特に、チーム内での情報共有が円滑になり、協力体制が強化されました。これにより、担当者異動の際にもスムーズな引き継ぎが可能となり、クライアントとの関係性を維持できるようになりました。
・抱えていた課題
「MUJIpassport」というスマートフォンアプリを通じて顧客との接点を強化していましたが、アプリ内の行動データと店舗での購買データが十分に連携されておらず、顧客一人ひとりの全体像を把握できていませんでした。そのため、個々の顧客に最適化された情報提供が難しく、顧客満足度やエンゲージメントの向上に課題がありました。
・実施したこと
アプリの利用データやECサイトの購買データ、店舗での購買データを統合するCRMを導入しました。これにより、オンラインとオフラインを横断した顧客の行動データを一元的に管理できるようになりました。これらのデータを基に、顧客の興味や購買傾向を分析し、パーソナライズされた情報や特典を配信する仕組みを構築しました。
・何がどう変わったのか
顧客のオンライン・オフラインの行動データが統合されたことで、顧客一人ひとりのライフスタイルや好みをより深く理解できるようになりました。その結果、顧客の興味に合わせた商品の情報や、店舗で利用できるクーポンをアプリで配信するなど、パーソナライズされたOne to Oneコミュニケーションが実現しました。これにより、顧客のアプリ利用率や店舗への来店頻度が向上し、ブランドロイヤルティの強化につながりました。
・抱えていた課題
全国に多数の店舗を展開し、顧客数が多いニトリは、顧客情報が店舗やECサイトで分散していました。これにより、顧客の購買履歴や行動を横断的に把握できず、ECサイトで購入した顧客に店舗限定のキャンペーン情報を送ってしまうなど、顧客に合わせた情報提供ができていないという課題がありました。
・実施したこと
店舗とECサイトの顧客データを統合するCRMシステムを導入しました。これにより、顧客がどこで何を購入したかを一元的に把握できるようになりました。さらに、顧客の購買履歴や閲覧履歴を分析し、興味を持ちそうな商品をレコメンドしたり、最適なタイミングでキャンペーン情報を配信したりする仕組みを構築しました。
・何がどう変わったのか
顧客情報が一元化されたことで、顧客に最適なタイミングとチャネルで情報を提供できるようになりました。これにより、顧客は自分に合った情報を受け取ることができ、顧客満足度が向上。
また、クロスセルやアップセルの機会が増加し、売上向上にも貢献しています。さらに、顧客の購買行動をデータとして蓄積することで、より効果的な商品開発やマーケティング戦略の立案にも役立てています。


CRMを導入するだけでは、期待する効果は得られません。導入後の運用を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、CRMの導入から運用、そして成果を出すまでの流れに沿って、押さえておくべき4つのポイントを解説します。
導入する目的及び、解決したい課題を明確にする
目的に合ったツールを選ぶ
社内に浸透させるためのフローを設計する
課題が解決されたかどうか振り返りを実施する
CRM導入を成功させるための最初の、そして最も重要なステップは、目的と解決したい課題を明確にすることです。単に「顧客情報を管理したい」「他社が導入しているから」といった安易な理由で導入してしまうと、目的が曖昧になり、効果的な活用ができません。
「営業部門の案件進捗管理を効率化したい」「顧客からの問い合わせ対応をスムーズにしたい」「LTV(顧客生涯価値)を向上させたい」など、具体的な目標を設定しましょう。これにより、必要な機能や導入すべきツールが明確になり、関係者全員が同じゴールに向かって進むことができます。
目的と課題が明確になったら、それに合ったCRMツールを選びます。CRMツールには、営業活動の効率化に特化したもの(SFA)、マーケティング活動の自動化に特化したもの(MA)、カスタマーサポートに特化したものなど、様々な種類があります。
自社の課題解決に本当に必要な機能は何か、そしてそのツールが自社のビジネス規模や予算に合っているかを検討しましょう。また、既存のシステム(会計ソフトやECサイトなど)との連携が可能かどうかも重要なポイントです。
どんなに優れたCRMツールも、社員に使ってもらえなければ意味がありません。導入したツールが社内に定着するよう、利用しやすいフローを設計することが不可欠です。
まずは、なぜCRMを導入するのか、どのようなメリットがあるのかを社員に丁寧に説明し、理解と協力を得ることが重要です。また、入力ルールをシンプルにしたり、研修を実施したりすることで、社員の負担を減らし、スムーズな運用を促します。
CRMは導入して終わりではありません。定期的に、設定した目標や課題が解決されたかどうかを振り返り、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
データ分析機能などを活用して、顧客満足度の変化、売上への貢献度、営業効率の改善度などを数値で測定しましょう。期待した効果が出ていない場合は、何が原因かを分析し、入力ルールの変更やツールの使い方見直し、新たな施策の実施など、改善策を講じていく必要があります。この継続的な振り返りが、CRM活用の成功につながります。
CRMは、顧客との関係強化において強力なツールですが、導入にあたってはメリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。
CRMを導入する最大のメリットは、顧客情報を一元管理できることです。これにより、営業、マーケティング、カスタマーサポートといった各部門がリアルタイムで顧客情報を共有できるようになり、部門間の連携がスムーズになります。
顧客の購買履歴や問い合わせ内容をすぐに把握できるため、より質の高いパーソナライズされた対応が可能になり、顧客満足度とロイヤルティの向上につながります。また、顧客情報を分析することで、効果的なマーケティング施策の立案や、営業活動の効率化が図れます。
一方で、CRM導入にはいくつかのデメリットも存在します。
まず、初期費用や月額費用がかかることです。ツールの種類や規模によっては、コストが大きな負担となる可能性があります。次に、導入から定着までに時間と労力がかかることです。新しいシステムを導入するため、社員への研修や入力ルールの徹底など、社内での浸透には時間が必要です。また、入力が不十分だと正確なデータ分析ができず、ツールが形骸化してしまうリスクもあります。
CRM導入を検討する際、多くの企業が抱える疑問や懸念点があります。ここでは、CRMに関するよくある質問とその答えをまとめました。導入の際の参考にしてください。
CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客との関係を強化し、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)を高めるための戦略や、それを支援するシステムのことです。
顧客の基本情報、購買履歴、問い合わせ履歴などを一元管理・分析することで、一人ひとりの顧客に合わせた最適なコミュニケーションを実現します。
世界的に有名なCRMツールとしては、Salesforce(セールスフォース)が挙げられます。その他にも、マーケティングに強みを持つHubSpot(ハブスポット)や、Microsoft社が提供するDynamics 365(ダイナミクス365)など、様々な特徴を持つツールがあります。
日本のCRM市場では、グローバルでもトップシェアを誇るSalesforceが圧倒的なシェアを持っています。その他、HubSpot、Sansan(名刺管理からCRMへ展開)、Microsoft Dynamics 365、Zohoなどが上位を占めています。
CRMは特定の業種に限らず、BtoB、BtoCを問わず幅広い業種で導入されています。
製造業、金融、不動産、IT、小売、サービス業など、顧客との継続的な関係構築が重要となるすべての業界で活用されています。特に、顧客データがビジネスの鍵となるSaaS企業やEC事業者は積極的に導入しています。

この記事をかいた人
八並 嶺一
エンタープライズセールスの専門家。株式会社エージェントにて、大手企業との取引量を増やし、事業拡大を牽引。その実績を背景にCHRO、COOを歴任し、組織・事業の両面から経営をリード。2020年の株式上場を経験する。2022年、インキュベーター株式会社を創業。自身が現場と経営の両軸で培ってきた「大企業営業」の知見を再現可能な仕組みに昇華すべく、2025年にエンタープライズセールス特化型サービス「アカマネ」をリリース。アカマネを通じて属人化しがちなエンタープライズセールスを、再現性ある営業基盤へと変革する支援に取り組んでいる。